2006年11月06日
『SOX法とは何か?』 書評が掲載されました!
日本弁護士連合会様の機関紙『自由と正義』11月号にて、
『SOX法とは何か?』の書評が掲載されます!

執筆者は、インタビューにも応じてくださった弁護士の稲垣隆一先生です。

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本書は、米国SOX法に関するコンパクトな解説である。しかし、その功はまことに大きなものがあると思われる。

まず評価さるべきは、本書出版の時期である。
2005年12月8日、金融庁企業会計審議会内部統制部会は「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準のあり方について」を発表し、実施基準は本年末には公表されるものと見込まれる。2006年5月1日には、大会社一般に内部統制システムの構築の基本方針を義務づけた新会社法が施行日を迎え、6月7日には、財務情報に関する経営者による内部統制の構築と有効性評価、公認会計士による有効性監査を義務づける金融商品取引法が成立した。このように、我が国は、今、内部統制に関する規範の整備が終了しつつあり、今後は、発表された規範の解釈を通じた、内部統制の構築、維持、監査、これらの支援ビジネスとの契約、役員、公認会計士や監査法人の責任問題の処理が現実的な課題となる時期にある。現在、こうした実務に際してのよるべき枠組みとしては、1992年・94年の米国トレッドウエー委員会COSOモデルを核とする、米国公認会計士協会(AICPA)の監査基準SAS78号(95年)、米国情報システムコントロール財団(ISACF・現ISACA)のCOBIT(96年)などがあると言われ、さらに、米国企業改革の動きを牽引した2002年の米国SOX法(Public Company Accounting Reform and Investor Protection Act of 2002)が存在する。従って、今後の上記作業には、適用企業でなくともこれらの理解、特に米国SOX法の理解が欠かせないものとなることは言うまでもない。本書が2006年4月24日に出版されたことは、我が国におけるこうした課題の発生を的確に見抜いてのことであり、まずは、企画者の慧眼に敬意を表したい。

次に評価さるべきは、本書の構成である。本書は、米国SOX法の解説としては極めて圧縮されている。これが不明確な脚色を排し、使いやすさを増している。特に、巻末の米国SOX法邦訳は、部分訳とは言え、本書の価値を高めている。この邦訳によって、読者は、本文の解説内容を条文にあたって確認でき、本書の解説を正確に、また確信をもって理解できる。原文にあたる際の前処理にも役立ち作業能率を高めている。異なる会社制度を前に、条文の邦訳という困難で地味な作業を行われた翻訳者に敬意と感謝を表したい。

読者は、本書を手に取ることによって、米国SOX法の広がりが、企業の財務不正の防止のために、内部統制や監査にとどまらず、経営倫理、監査人の独立、公認会計士や弁護士の責任、内部告発者の保護、そして峻厳な刑事責任に及んでいることを理解されるであろう。そして、同法が、企業の財務不正を、株式制度に強く依存した年金受給者の生活や社会、政治に対する重大な脅威として認識し、それまでの統制枠組みではコーポレートガバナンスの脆弱性を克服しえないとする明確な判断を下したことを身を以て感じられ、我が国の取り組みとの温度差を感じられることであろう。


本書の隠された価値は、内部統制、監査、コーポレートガバナンスやコンプライアンス経営、企業倫理は、単なる枠組みにとどまらず、株式制度に依存する米国の市民の暮らしと願いから紡がれた現実的な解であると伝えることにあるようにも思われる。


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稲垣先生、どうもありがとうございました。


 
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